そもそもオフィスの解約通知書とは?解約通知書はオーナーへ解約を予告するものオフィス解約通知書とは、賃貸借契約を終了することを賃貸物件のオーナー(貸主)に対して正式に通知するための書類です。賃貸借契約では、契約期間が満了するまで原則として契約を継続する義務があります。そのため、契約期間中に解約する場合、オーナー側に対して事前に解約の意思を伝える必要があります。なぜ解約予告が必要?解約予告が必要な理由は、オーナーが次のテナントを探すための準備期間を確保するためです。貸主は、テナントが退去した後、次のテナントを見つける必要があります。解約予告期間を設けることで貸主はスムーズに次のテナントを探し、空室期間を最小限に抑えることができます。また、テナント側も、移転先の手配や原状回復工事など、退去の準備を進める時間を確保できます。解約予告期間を守らなかった場合のリスク解約予告期間を守らなかった場合、オーナーから違約金などのペナルティを課せられる可能性があります。解約予告期間内に退去しなかった場合は大きなトラブルに発展する場合も考えられ、また、解約予告期間が経つ前に退去した場合は残りの賃料支払いの発生、解約予告がきちんと提出されていなかった場合も、想定外の賃料が発生するなどです。契約書に違約金の金額が明記されている場合、その金額を支払うことになります。また、違約金が明記されていない場合でも、オーナーが契約違反に対する補償を求めてくる可能性も考えられます。解約予告期間は不要なトラブルを避けるためにも重要な取り決めです。必ず守るようにしましょう。解約予告期間は必ず確認しておこう解約予告期間は、基本的に賃貸借契約書に記載されています。契約を結ぶタイミングで契約書を細かく確認し、解約予告期間をしっかり把握しておきましょう。一般的には、解約予告期間は3ヶ月〜6ヶ月で定められているケースが多いですが、中には1年以上というケースもあります。物件によってこれらの条件は異なるため、解約予告期間が不明な場合は、入居しているオフィスの管理会社へ問い合わせて確認しましょう。オフィスの解約通知書の提出方法まずは契約書を確認オフィスの解約通知書を提出する前に、まず賃貸借契約書をよく確認しましょう。契約書には解約通知書の提出方法や提出先などが記載されています。郵送、FAX、メールなど、提出方法は様々ですが、契約書に記載されている方法に従って解約通知書を提出する必要があります。万一契約書に詳しい提出方法が記載されていない場合は、オーナー側に問い合わせて確認しましょう。契約書に記載がない場合の解約予告期間について契約書に解約予告期間が明記されていない場合は、民法の規定が適用されます。民法では賃貸借契約の解約予告期間は、賃貸期間が1年以上の場合には、1ヶ月以上前、賃貸期間が1年未満の場合には、15日以上前とされています。提出書類の書き方と注意点オフィスの解約通知書には、以下のような内容を記載します。宛名(貸主の名前または会社名)差出人(賃貸借契約者の社名や氏名)賃貸物件名や住所、号室解約についての件名(「解約通知書」または「賃貸借契約解約通知書」)解約日(賃貸借契約を終了させる日付)テナントの代表者または担当者の署名と捺印解約通知書には、正式な書類であることを示すために、署名と捺印が必要です。また、誤字脱字がないか、内容が明確に記載されているかなどを確認してから提出しましょう。▼解約通知書の内容(参考例)項目記入例注意点賃貸借契約者氏名〇〇 株式会社 代表取締役 〇〇 〇〇契約書に記載されている氏名と一致しているか確認してください。賃貸物件の住所〒〇〇〇-〇〇〇 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇-〇〇契約書に記載されている住所と一致しているか確認してください。解約通知文上記賃貸借契約につきまして、下記の期日をもって解約させていただきたく、通知申し上げます。解約の意思を明確に示してください。解約日令和〇年〇月〇日契約書に記載されている解約予告期間を考慮して、解約日を決定してください。署名と捺印〇〇 株式会社 代表取締役 〇〇 〇〇会社名と代表者の氏名を明記し、会社印を押印してください。解約通知書は、契約書に記載されている様式に従う必要がある場合があります。契約書に様式が記載されている場合はその様式を使用しましょう。様式が記載されていない場合は、上記を参考に、簡潔で分かりやすい文章で作成してください。なお、解約通知書は、オーナーに直接手渡す、書留郵便で送付する、管理会社に送付するなどの方法があります。書留郵便で送付する場合は、配達記録が残るため、提出の証拠として残しておくと安心です。また、万一に備えて控えを保管しておくとよいでしょう。オフィス解約の全体流れと提出のタイミングオフィス解約は、解約通知書の提出のみで完了するわけではありません。解約通知書の提出以外にも様々な手続きや準備が必要になります。ここでは、オフィス解約の全体的な流れと、解約通知書の提出タイミングについて解説していきます。オフィス解約の検討(解約6ヶ月前〜)オフィス解約の検討は、解約予告期間が3ヶ月の場合、その後の工程を考慮して、解約予定日の6ヶ月前くらいから始めると良いでしょう。まずは、現在のオフィス環境が事業規模や今後の事業計画に合致しているか、見直すことから始めます。現在のオフィスからの移転が必ずしも最適な選択肢とは限りません。現在のオフィスでこのまま事業を続けるのか、移転するのか、それとも縮小するのか、現状と長期的な展望を踏まえたうえで、様々な選択肢を検討しましょう。また、これ以前のタイミングで解約通知期間を改めて確認し、期間までに通知ができるようにスケジュールを組んでおくことが重要です。移転先オフィスの選定(解約5ヶ月前〜)オフィス移転を決めた場合には、移転先オフィスの選定を始めましょう。移転先の立地条件、賃料、オフィススペースの広さ、設備など、様々な条件を考慮して、最適なオフィスを探します。関連記事:【完全版】オフィス移転チェックリスト!事務所移転や会社移転でやることを時系列順に解説解約予告の提出(解約3ヶ月前まで)移転先のオフィスが決まったら、現在のオフィスの解約通知書をオーナー(貸主)に提出し、3ヶ月の解約予告期間を開始します。移転先オフィスとの契約(解約3ヶ月前~)移転先オフィスが決まり、賃貸借契約が完了したら、移転の準備を始めましょう。移転先オフィスとの契約内容を改めて確認し、必要な手続きや工事を進めていきます。関連記事:オフィス工事区分のA工事・B工事・C工事の違いとは?注意すべきポイントについて解説関係各所への連絡(解約2ヶ月前~)解約日までに、事業運営上重要な関係各所への連絡や手続きを済ませておきましょう。主な手続き先は以下の通りです。●電話会社●インターネット回線会社●電気会社●ガス会社●水道会社●郵便配達業者への住所変更届●取引先各社への移転に関する通知関連記事:事務所移転時に必要な各種手続き完全マニュアル!移転の流れに沿って徹底解説引越しと原状回復(解約1ヶ月前~)解約日の1ヶ月前くらいから、引越しの準備を始めます。荷造りや不用品の処分、新しいオフィスへの搬入など、様々な作業が必要です。余裕を持って準備を進めましょう。また、解約時には、オフィスを元の状態に戻す原状回復工事が必要となります。賃貸借契約書に原状回復の範囲や義務に関する記載があるため、確認しておきましょう。原状回復工事には借主の費用が発生することが多いので、事前に見積もりを取っておくことをおすすめします。関連記事:原状回復工事とは?オフィス移転時に重要な原状回復について、区分や流れ、ポイントを解説関連記事:オフィス引っ越し時の業者の選び方!小規模オフィスの業者選びのポイントまで解説解約日解約日にはオフィスからすべての荷物を搬出します。搬出後、オーナーに鍵を返却し、解約手続きを完了します。解約後も解約に関する書類(解約証明書など)を受け取る場合があるので、オーナーと連絡を取り合い、スムーズに手続きを進めましょう。オフィス解約時の注意点オフィス解約では様々なトラブルが発生することが考えられます。以下の注意点を押さえて、スムーズな解約手続きが行えるようにしておきましょう。中途解約と違約金について賃貸借契約期間中に解約する場合、中途解約となり、違約金が発生することがあります。違約金の金額は契約書に記載されているので、必ず確認しておきましょう。オーナーは、テナントが途中で解約することで、新しいテナントを探すための費用や、オフィスが空室になる期間の賃料収入の損失などが発生します。違約金は、これらのオーナーが解約によって被った損害を補償するためのものです。双方のためにも、基本的には契約期間終了時の解約が望ましいですが、契約期間中にどうしても解約する必要がある場合は、オーナーと事情について相談し、違約金の減額交渉を行うことも検討しましょう。また、フリーレント時なども中途解約の場合、違約金が発生する場合がありますので契約時に確認が必要です。自動更新のタイミング賃貸借契約には、契約期間満了後に自動的に更新される「自動更新」という仕組みがあります。自動更新の条件は契約書に記載されているので必ず確認しておきましょう。解約予告をせずに契約期間が満了した場合、契約が自動更新されることがあります。自動更新を避けたい場合は、解約予告期間内に現オフィスの解約通知書を提出するのを忘れないようにしましょう。新オフィスの入居審査が通過しない可能性も考慮する移転先のオフィスを契約する際に入居審査が行われることがあります。入居審査では、会社の業種や経営状況、支払い能力などが審査されます。審査に通らない場合は、移転ができない可能性もあるので注意が必要です。審査が通らなかった場合のことも考慮して、移転先探しは余裕をもって進めておきましょう。状況により、期間延長や予告取り消しを相談事情が変わって解約を取り消したい場合はオーナーに相談しましょう。オーナーの状況や契約内容によっては、解約期間の延長や解約予告の取り消しに応じてくれる場合もあります。ただし、期間延長や予告取り消しはオーナーの承諾を得なければできません。また、契約違反となる可能性もあるため、事前にオーナーとよく相談することが重要です。まとめ:解約通知書は正しい方法で確実に提出しましょうオフィスの解約通知書の提出は、賃貸借契約をスムーズに終了させるために必要な手続きです。解約予告期間や提出方法など、契約書に記載されている内容をよく確認し、確実に提出できるようにしましょう。また、中途解約や自動更新など、解約時には様々な注意点があります。これらの条件も事前にしっかりと確認し、スムーズなオフィス解約の手続きを目指しましょう。もし、解約手続きについて不明点なあれば、専門家に相談するのもおすすめです。近々オフィスの移転や解約をすることを検討中の方は、まずはこの記事を参考に、自社の賃貸契約の状況などを確認し、早めにオフィスの解約通知書などの解約準備を進めていきましょう。関連記事:【完全版】オフィス移転チェックリスト!事務所移転や会社移転でやることを時系列順に解説関連記事:事務所移転時に必要な各種手続き完全マニュアル!移転の流れに沿って徹底解説