居抜きオフィスとは?居抜きオフィスとは、前の入居者が使用していたオフィス家具や什器、内装をそのまま残した状態で、次の入居者に貸し出されるオフィス形態のことです。通常、オフィスの入居・退去時には内装構築工事や原状回復工事が必要ですが、居抜きオフィスの場合はその工事範囲を削減することができるため、初期費用や工事期間を大幅に削減することが可能です。居抜きオフィスのメリット居抜きオフィスを選択する最大のメリットは、コスト削減です。通常、オフィスの移転時には、入居時の内装工事費や退去時の原状回復工事費など、多額の費用がかかります。しかし、居抜きオフィスであれば、既存の内装をそのまま活用できるため、数百万、場合によっては数千万のコスト削減につながるケースもあります。さらに、居抜きオフィスには、前のテナントが使っていたデスク、チェア、収納棚などが残されている場合があり、これらの購入費用を抑えることもできます。次に、移転期間の短縮によりスムーズな業務継続ができる点も、居抜きオフィスを利用するメリットといえます。内装工事だけでなく、オフィス家具探しから搬入・設置などに必要な期間が短縮されるため、移転後すぐに業務を開始できます。これは、事業のスピード感が重要なスタートアップやベンチャー企業にとって、居抜きオフィスを利用する大きなメリットとなるでしょう。参考記事:Bevmax Office Centers『家具付きオフィススペースに期待すべきことは?(What Should I Expect Out of a Furnished Office Space?)』居抜きオフィスのデメリット居抜きオフィスには、ここまで紹介したメリットと同時に、いくつかのデメリットも存在します。まず、居抜きオフィスのデメリットの一つとして、前のテナントの業務内容や規模によっては、既存の内装や什器が自社のニーズに必ずしも合うとは限らない、ということが考えられます。居抜きオフィスは前の入居者の使用状況に合わせて設計されているため、例えば、会議室の数が足りない、収納スペースが不足している、OAフロアがない、などの運用上の問題が発生する可能性があります。内覧時に、自社の業務に必要な設備やスペースが十分に確保されているか、しっかりと確認する必要があるでしょう。また、引き継いだテナントの設備や什器の老朽化により、移転後に自社で修理、または交換する必要が生じる場合があることも、居抜きオフィスのデメリットの一つです。オフィス家具や設備が古い場合には、新たに購入したり、リースしたりする費用が発生し、結果としてコストがかさむ可能性があります。メリットだけでなく、こうした居抜きオフィスならではのデメリットも理解した上で、自社にとって本当に適切な選択肢であるかを慎重に検討する必要があります。居抜きオフィスを選ぶ時の注意点まず第一に、オフィス環境が自社のニーズや利用目的に合っているか、注意しましょう。具体的には、以下のような点を確認する必要があります。働き方に適したレイアウトが実現できるか既存のレイアウトが自社の働き方に合致しているか、集中できる作業スペースの有無、フリーアドレスの対応など、現状だけでなく、将来的な働き方も見据えて検討することが重要です。入居後に内装や設備の変更が可能かどうかも、事前に確認しておきましょう。将来的な事業拡大を見据えたスペースが確保されているか現在の従業員数だけでなく、将来的な事業拡大に伴う従業員の増加を考慮し、オフィススペースの規模やレイアウトが適切かどうかを検討する必要があります。例えば、数年後に従業員数が倍増する採用計画がある場合、現在のオフィススペースで対応できるか、拡張性があるかを確認しましょう。アクセスの良さと周辺環境の確認オフィスの立地が従業員や顧客にとってアクセスしやすい場所であるかどうかも大切です。利用できる路線の種類や最寄り駅からの距離は、従業員の通勤負担や顧客の来訪のしやすさに影響します。また、従業員の働きやすさを考える上では、周辺に休憩で利用できる飲食店やコンビニなどの商業施設が充実していると、リフレッシュしやすい環境が提供でき、業務にも好影響を与えるでしょう。次に、入居前に物件の状態をチェックすることも忘れずに行いましょう。特に、設備の老朽化や什器の状態については入念に確認し、不具合がないかを確かめることが必要です。これにより、入居後に追加の修理や交換の費用が発生するリスクを軽減できます。オフィス移転のプロから見る、居抜きオフィスのメリット・デメリットここからは、実際にオフィス移転・仲介のプロの観点から、実際の居抜きオフィス移転支援の経験に基づいてお伝えしたいことをまとめました。ぜひここまでの内容と併せて、居抜きオフィスを検討する際の参考にしてください。居抜きオフィスについて”メリット”だと思うことスタートアップの場合、まだビジネスモデルの検証フェーズでは移転の際に内装にそこまでお金をかけられない企業もたくさんいらっしゃいます。そんな企業でも、居抜きでの移転が実現したことで、想像以上に採用のスピード感が上がった、というお話はよく伺います。HPやSNS、求人媒体で使う社内の風景、メンバーの写真がガラリと印象が良くなり、面接時も含め明らかにリアクションが良くなった、と確かな手応えを得られるようです。居抜きオフィスについて”デメリット”だと思うこと居抜きでの移転に決まり、コストを抑えつつクオリティの高い内装を手に入れられ、その際は満足いく結果に終わる場合でも、その数年後、いざ退去時に「原状回復費が想像以上に高かった」というケースはけっこう多いです。凝った造作家具があったり、天井が抜かれている内装などは特に注意が必要になるので、だいぶ先の話にはなりますが、退去時の原状回復については入居前に確認をしておいたほうが良いでしょう。居抜きオフィスを選ぶ際にご注意いただきたいこと実際に自社の人数規模や働き方にフィットするオフィスなのかは、一度冷静に考えてみたほうがよいと思います。自社の移転スケジュールにきちんと合っているかどうかも重要です。また、通常のオフィス区画での契約とは違い、イレギュラーな取り決めも多いので、契約条件に関しては念入りに確認しましょう。まとめ:オフィス移転のメリット・デメリットを理解して、自社に合ったオフィス選びを居抜きオフィスは、スタートアップやベンチャー企業にとって、初期費用や移転期間を大幅に削減できる魅力的な選択肢です。内装工事費やオフィス家具購入費を抑えることで、限られた資金を事業成長に不可欠な部分に集中投下することができます。また、移転期間の短縮は、ビジネスチャンスを逃さず迅速に事業を展開する上で大きなメリットとなります。しかし、居抜きオフィスにはこうしたメリットだけでなく、既存の内装や設備が自社のニーズに完全に合致しない可能性や、設備の老朽化といった居抜きオフィスならではのデメリットも存在します。効果的な移転を実現するためには、居抜きオフィスのメリットとデメリットの両面を理解し、自社の事業内容や将来的な展望、そして企業文化などを総合的に考慮しながら、慎重に検討するようにしましょう。関連記事:【完全版】オフィス移転チェックリスト!事務所移転や会社移転でやることを時系列順に解説関連記事:事務所移転時に必要な各種手続き完全マニュアル!移転の流れに沿って徹底解説